11.25.2018

いじめのトラウマ Netflix「13の理由」

今回は、ネットフリックスで昨年話題を呼んだ 13 reasons why 「13の理由」というドラマから、誰にでも起こりうる心の葛藤について書いてみたいと思います。

このドラマは、自殺した女の子が死ぬ前に自分がどうして死ぬ事になったかをカセットテープに吹き込み自殺してしまいます。彼女の死のあと、クラスメートたちがそのテープを聞くというショッキングなストーリーです。どうして彼女は自殺にまで追い込まれたのか、テープを聴き進めていくごとに真実が明らかになっていきます。



どこにでも起こりうる人間関係の悲劇

学校という小さな世界で、誰かをバカにしたり悪者にする。初めは些細なからかい半分だったのかもしれません。しかし、それは一人の多感な時期の女の子を傷つけました。明らかに許してはいけない暴力、レイプもあります。その周りには、悪ふざけ、誤解、嫉妬などどこにでも起こりうる人間関係の難しさがじわじわと主人公であるハンナを追い詰めていきました。このドラマは、アメリカの高校が舞台ですが、このような閉ざされた人間関係で悲劇が起こるのは日本でも同じですし、学校ではなくても地域のコミュニティや会社という場所でも似たようなことは起こり得ます。

自分もこの中の誰かになりうるのではないか

登場人物であるハンナのクラスメイトたちは、確かにすべてが「いい奴」ではありません。性的暴力はもってのほかですが、ほとんどの同級生たちはどこにでもいそうな生意気で、臆病な普通の高校生です。自分のことを守りたい、仲間外れにされたくない一心で、嘘をついたり、隠したり、誰かに罪をなすりつけたりするのです。保身の心はだれにもで大なり小なりあります。ですから、登場する同級生に誰でもなり得るのではないでしょうか。

「ハンナの話は事実と違う」「それがハンナの真実だ」

この言葉はこのストーリーの悲劇の核心ではないかと思いました。これは、主人公であるクレイがハンナの残したテープを聞いて、友人の一人のトニーと話すシーンです。テープの中でハンナはあるパーティーでのクレイを「とても落ち着いているように見えた」と言っていますが、実際のクレイは真逆でハンナと一緒にいることにとても緊張し胸を高ぶらせていました。全然自分は落ち着いてなんかいなかった、彼女の話は事実と違う!と言ったクレイに対し、トニーは「それがハンナの真実だ」というのです。

いじめも、いじめた方は「いじめてはない」「あれはいじめではない」と主張します。しかし、実際にいじめをうけた側は心に大きな傷を追っているのは事実なのです。いじめられる側にも問題があるというのは到底受け入れられない意見であり、いじめる側というのはいつでも悪いのです。

トラウマが邪魔をして幸せを掴めない

前置きが長くなりましたが、今回、もっとも書きたかったのがこのポイントです。

ハンナとクレイは同級生でアルバイト先も一緒。おたがい友達として付き合っていましたが、お互いのことをずっと気にしていました。特に、クレイのほうがハンナに惹かれていたようです。ハンナが学校でひどい噂を流された時も、クレイはいつも変わらずハンナと付き合ってくれた貴重な友人のひとりでした。

あるパーティで、ついにクレイとハンナはいい感じになり、皆から離れた部屋で二人きりで過ごす事になりました。ふたりの盛り上がりがピークになったときに、ハンナはいじめやセクハラがフラッシュバックし、クレイを突き放して「一人にして、出て行って」と言ってしまいます。しかし心の中では「お願い、出て行かないで」と言っているのです。

トラウマをケアしないと、幸せをつかみ損ねることがあります。

このハンナのように、大事な時にフラッシュバックが起こってしまうことがあります。フラッシュバックは一瞬にして頭の中が真っ白になり、恐怖や混乱が蘇ります。すると、冷静な言動ができなくなります。

フラッシュバック以外にも、トラウマを長い間抱えていると、自分は幸せにはなれない、なってはいけないような気持ちになり、幸せから自ら遠ざかっていくこともよくあります。このドラマでもハンナはクレイに対して「あなたと一緒にいる資格がない」という言葉をテープの中に残しています。

トラウマは正しいケアが必要です

戦争、事故、災害のようなもの以外にも、セクハラ、パワハラ、誰かの心無い一言でも心は傷つき引きずってしまうことがあります。時間が経って自然に消えていくものがほとんどですが、どうしても忘れられない、過去のことなのに何度も思い出して再度同じように傷ついてしまうものはケアが必要です。

そして、とにかくいじめは誰かに相談するということです。なかなかできないかもしれませんが、まずは安全な場所で自分の置かれている状況や、感じている気持ちを素直に離してみることが解決への第一歩です。









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