11.05.2018

毒親とは

毒親という言葉は、2001年に翻訳出版されたアメリカのセラピスト、スーザン・フォワードによって書かれた「毒になる親」という本で出て来た言葉です。原版では TOXIC PARENTSというタイトル、その名の通り毒になる親という意味です。


親というものは、当たり前ですが当然人間です。完璧な人間がこの地球上には存在しないように、完璧な親というのも当然存在しません。親だって間違ったことを言ってしまったり、冷静さを欠いた行動や言動をすることもあります。

スーザン・フォワードの著書からの言葉を拝借すると、

子供に対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、それが子供の人生を支配するようになってしまう親。

という風に書かれています。

自己愛的な親からの悪影響

ほとんどのケースで親の自己愛が子供に大きな悪影響を与えます。たとえどんな親でも「つねに子供のことを考え、子供の幸せを願っている」というのがそれまでの「親」というものであり、たとえその表現方法に問題があっても「親は子供のことを考えている」「いかなることがあっても子は親に感謝すべきである」という社会通念が根強くあり、毒親の問題が明るみになるのを拒んでいました。

しかし、自己愛的な親というのは「子供のため」という仮面を被っている「自分のために子供を利用する親」であり、しばしば子供はそんな自己愛的な親の犠牲になります。そして、子供が大人になり、成人しても、子供時代に植えつけられた「親の犠牲」は消えていくことはありません。むしろ対人関係、特に近しい恋人や配偶者との間で問題が起こり、苦しめます。

経済的に自立をしても毒親の影響は消えない

「そんなに親が嫌なら、自立すればいいじゃないか」
そのような意見もあるでしょうし、それは一方では真実とも言えます。しかし、毒親というのは、子供が親の庇護が必要な幼少期から始まり、性格が形成され、社会性を学ぶ子供から青春時代という多感な時期に親の自己愛に振り回され、本来ならしっかりと成長するはずの自立心や社会的コミュニケーション力、そして最も大事な「自尊心」を十分に育てることができずに成人し、そのまま社会に出ていくのです。

健康的な家庭でも、子は反抗期を迎えるとおのずと親を疎ましく思うようになり、親との喧嘩や意見の食い違いが出ます。しかしこれは成長にとって大事な側面であり、必要なことです。

どこからどこまでが毒親、という明確な基準が医学的にあるわけではありませんが、以下の項目にあてはまることが多い場合は、親の悪影響を少なからず受けている可能性があります。


  • あなたの親は、あなたの人間としての価値を否定するようなことを言ったり、侮辱の言葉を使ったり、罵ったりしたか。
  • あなたの親は、あなたを批判するような言動をよくしたか。
  • あなたの親は、あなたを叱るとき体罰をあたえたか。物を使ったか。
  • あなたの親は、しょっちゅう酒に酔ったり薬物を使っていて、それをあなた自身は混乱したり、嫌な気持ちや恐怖を感じていたか。
  • あなたの親は、精神状態が不安定で、いつもあなたを一人にしていたか。
  • あなたは親を怖がっていることが多かったか。
  • あなたは親に腹を立ててもかまわなかったか、それとも、親に対してそのような感情を表現することは怖くてできなかったか。
  • あなたの親は、あなたを威圧したり、罪悪感を感じさせたりして、自分の思い通りに行動させようとしたか。
  • 親と離れて暮らしている場合、これから親と会うことになっているとき、あるいは一緒に過ごした後で肉体的、精神的に甚だしい反応が出るか。
  • あなたは親の考えに反対するのに勇気がいるか。
  • あなたの親は、金銭的なことを利用して、自分の思い通りに行動させようとするか。
  • あなたの親は、あなたに対して秘密を守らなくてはいけないようなことをしたことがあるか。何らかの性的な行為をしたことがあるか。
  • あなたの親は、いろいろな問題を抱えており、そのためにあなたは世話をしなければならなかったか。
  • あなたの親は、あなたが大人になっても子供のように扱うか。
  • あなたが人生において決定する多くのことは、親がそれをどう思うだろうかということが基本になっているか。
  • 親がどうゆう気分でいるかあなたの責任だと思うか。もし親が不幸だとしたら、それはあなたのせいだと思うか。
  • 親に幸福感を感じさせるのはあなたの仕事だと思うか。

(スーザン・フォワード 毒になる親 から抜粋)






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