8.13.2019

カバートアグレッションは歪んだ自己防衛なのか?

カバートアグレッションとは、一見いい人のふりをして他人に近づき笑顔で攻撃してくることをいいます。英語ではCovered Aggressionといい、日本語表現としては「潜在的な攻撃性」となります。一見いい人のふりをしているという点が、カバートアグレッションの特徴であり、自己愛性人格障害とは違う点です。

リンク:カバートアグレッションとは 
リンク:自己愛性人格障害とは

このカバートアグレッションの傾向を持つ人が、Ralfの周りには数名いるのですが、その人たちの置かれている境遇やまわりの環境を見てみるとある種の共通点と、彼らががカバートアグレッションのような潜在的な攻撃性を持つに至る理由のようなものが見えてきて、これはひょっとしたら豪烈な自己防衛のひとつなのではないか?と思うようになりました。今回はカバートアグレッションの傾向をもつ人についてです。
注意:学術的な精神心理学や医学に基づいたものではなく、あくまでも個人の経験による推測のひとつを記したものです。
Free-PhotosによるPixabayからの画像

まず、ざっとカバートアグレッションの特徴です。
  • 急に無知や無垢を装う
  • 質問に対してダイレクトに答えようとせず避ける
  • 保身的に小さい嘘をつく
  • 急に怒り出して相手をコントロールしようとする
  • 被害者ヅラをして同情を買おうとする
  • 自分のことを棚に上げて相手を責める
  • 相手から指摘されると言い訳をし矮小化する
  • 相手の恥や罪悪感を利用する
この特徴を見たときに、自己愛性人格障害の毒親とは違うポイントがいくつかあるので、自分の親はこれには該当しないとはっきりわかりました。確かに、急に怒り出して相手をコントロールしようとするところや、質問に対してダイレクトに答えようとしなかったり、相手に罪悪感を植え付けるなどは似ていますが、保身的な小さいを嘘をついたり(自己愛性人格障害は嘘というより自分を特別な人に見せるための言動をします。それが周りから見ると大ホラに聞こえることが多いです)無知や無垢を装ったりすることはありません。

カバートアグレッションが疑われる人はかなり日常的にまわりにいて、職場でも数名思い当たる人がいます。一見いい人に見えるのが特徴です。一緒に働いたことがなかったり、ある程度深く付き合ったことがない、ただの知人や同僚といった人たちには「いい人そう」という印象があることが多いと思います。しかし、ひとたび関係が近くなると、その恐ろしさに気づきます。得体の知れない腹黒さがあります。

Ralfのまわりにいる「いい人のふりをして相手を攻撃する人たち」の共通点についてです。

頼んでもいないのにアドバイスをくれる

職場で直接的な利益にもならないのに善意でアドバイスをしてくれる人は基本的には貴重な存在です。なので、アドバイスをくれたからといってすべての人がカバートアグレッションというわけではありません。しかし、相手のためを思って善意でアドバイスをくれる人ではく、本人のアピールのためだったり、距離を無理やり詰めてこようとする場合は要注意です。ただ、アドバイスをくれただけでは、本当にいい人の場合もあるため、ここではまだ攻撃性があるかどうかはわかりません。

聞いてもいないのにプライベートな身の上話をする

他者との関係を近くするには、ビジネスを超えてお互いのプライベートな話をすることがあるでしょう。それ自体はなんの問題もないと思います。しかし、まだ十分な距離が縮まっていないときからヘビーな身の上話をしてきたり、特に苦労話や不幸な話をしてくる人には、同情してもらいたいという心理があると思います。女性に多いと思います。

都合が悪くなると「そんなこと言っていない」と言ったり、質問に答えない

これはRalfのまわりにいるカバーとアグレッションが疑わしいひとの全てが頻繁に行う行動です。仕事上でこれが現れると非常にやっかいです。こちらは相手を攻めているわけでもなく、ただ業務進行上の確認で聞いた質問に対して回答を避けたり「そんなこと言っていない」と小さな嘘をついたりします。このような行動が続くので、ちいさなミーティングでもすべて議事録をつけることにしました。しかし、議事録に書かれてその日中に議事録は共有されたにも関わらず後になってから「これはそうゆう意味じゃなかった」と言い訳をしたり「そうでしたっけ?」などととぼけて混乱を装います。挙げ句の果てに「あなたが◯◯したからじゃないか」と関係ないことを持ち出して相手をじわじわと攻めます。

Ralfは上記のようなことを何度も体験しましたが、実はそれなりの役職についている人がこうゆう行動をしていました。これは、本人たちの防衛行為なのだとと思います。自分が都合の悪い立場に置かれて、ごまかしてしまう、素直に非を認められないということは大なり小なり誰にもあると思うのですが、カバートアグレッションはいつのまにか矛先を自分から相手にして、自分を優位な立場に持ってこようとします。大変ずる賢いです。

単純な質問に対しても明確に答えない

仕事をしていれば、回答に困る質問を聞かれることももちろんたまにはあります。イエスかノーかで答えられない質問のほうが多いですし、事実ではなく見解を聞かれることも多いです。立場が上がれば発言に力が出てくるので責任も伴います。しかし、カバートアグレッションの場合は、イエスかノーかで答えられるような明確な質問にも、やたら冗長に長い回答をよこして結局何が言いたいかわからなかったり、ぼかして答えます。

大企業病によくある傾向のような気がします。つまり、自分に重大な責任が覆い被さらないように明確な発言は避け、自分以外の誰かに責任を押し付けるやり方です。日本の政治家にも多いのではないでしょうか?これは、明らかに防衛行動です。特に大きな組織に所属している人に見られる気がします。大きい組織で培ったスキルなのでしょうか。やられた側にしてみれば胸糞の悪い手法です。

あなたにだけ教えるけどね、という言葉をよく使う

この言葉をよく使う人は要注意です。心を開いたと見せかけて、無意識に相手をコントロールしようとします。要するに、人は「誰も知らない秘密」に弱い生き物です。自分だけが知ってる重要な情報、誰かのスキャンダル、ゴシップ、やばい情報は、それだけで魅力的です。しかもそれをわたしにだけ教えてくれようとしている、と思えば、そんな重要な情報を開示してくれるひとには自分も心を開こうという気分に無意識になるものです。「あなたにだけは教えるけどね」という言葉を頻繁に使う人は、高い確率で同じ言葉を他の人にも言っています。相手の心を開かせるのに有効な言葉だからです。相手は自分だけに言ってくれたんだ、と思って心を開くとバカをみることになります。

他の社員がいる前で怒ったり、泣こうとする

わざとやっているケースが多いです。この行動の目的は、周りの人たちから同情を買って特定の誰かを突き落としたい、あるいは自分が有利なポジションに行きたい、もしくは、自分の都合の悪い何かを隠したいときにこのような行動に出ることが多い気がします。

会社の場合では、昨今ではコンプライアンスの問題もあるので、さすがにいきなりキレたりすることは難しいですが、相手の都合の悪いことをわざと大勢が参加する会議で言ったりすることがあるように思います。また普段から、不必要に誰かや何かを責めています。

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上記のようなことは身近に実際に起こったことです。一見いい人に見えるひとが、上記のような行動を日常的に行います。このような人と一緒に働くことになったらだんだんと消耗し、得体の知れない不気味さがあり大変厄介です。

組織の中での自分の立場を死守している

Ralfのまわりでは、大きな組織で役職に付いている人にこのような傾向が見られます。つまり、責任ある立場なのに、その責任を問われることに非常に敏感になって、必死でそのポジションを死守している、死守するためなら何かを蹴落としても構わない、小さな嘘なら罪悪感なく言えるという印象です。しかし、真っ向から「保身」を指摘されるのは死んでも嫌なはずなので、立場を巧妙に使い、責任は他者になすりつけずる賢く逃げ回ります。自己愛性パーソナリティ障害のように誰かを踏み台にして自分が上の立場に行きたいというのではなく、とにかく落ちたくないという保身のような気がします。

出来ないやつだと思われたくない

プライドが異常に高いのかもしれません。プライドの高さでは自己愛性パーソナリティ障害も同様なので、やはり何か大きなコンプレックスを抱えているのでしょう。

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前述しましたが、大企業病のような感じもします。もちろん、大企業に勤めている人のすべてがカバートアグレッションであるわけはありません。しかし、大企業というのは(Ralfも経験があります)外から見ている以上に社内は複雑な人間関係があり、様々な思惑や政治が働いているものです。このような中で人生の大半を過ごすと、何らかの人格が歪むこともあるのではないでしょうか。少なくとも、Ralfが大企業にいたときは保身のためにカバートアグレッションのような「明確に答えない」「無知を装う」という行動は当たり前でしたし、自分自身もこのような行動をした覚えもあります。ここに、個人的なトラウマやコンプレックスなどが掛け合わされて、カバートアグレッションのような厄介な人間が出来上がるのではないかと思ったのです。

いずれにしても、このような人間にならないこと。周囲にいたら可能な限り避けることです。







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