11.07.2018

毒親のタイプ

毒親とはどのような親か。毒親にはいくつかの分類があります。ここでは、スザーン・フォワード「毒になる親」で解説されている7つの毒親(神様のような親、義務を果たさない親、コントロールばかりする親、アルコール中毒の親、残酷な言葉で傷つける親、暴力を振るう親、性的な行為をする親)を紹介します。詳しくは、スーザン・フォワードの著書をぜひご覧ください。





1. 神様のような親

スーザン・フォワードは著書の中で、しばしば「毒になる親」とその子供達の関係は、神と人間の関係によく似ていると記しています。小さな子供にとって、親は生存のためのすべてですが、成長するにつれて独立心が芽生え自己主張するようになります。思春期には、親の価値観や好みなどと対立しますが、これは健全な思春期で子供が親から離れていくプロセスとして必要なものです。しかし、心が不健康な親はこのような子供の成長に理解を示すことができず、子供の「非力さ」を利用して親に依存させ、独立の機会を奪います。

子供時代にしっかりと愛情を与えられなかった人は、たとえ、成人し仕事に有能で成功している人ですら、内面にはこのような無力さを不安感を抱えていることがある。

2. 義務を果たさない親

子供にも、誰も奪ってはいけない基本的人権があります。子供らしく生きる権利があります。子供は親から肉体的なニーズ、衣食住や体の健康に必要なことを与えられるべきで、親は肉体的な危険や害から子供を守らなくてはいけない。これは心の面でも危険や害から守るべきですし、道徳観念と倫理観を教えなくてはいけません。この義務を果たさない親というのは、もっとも基本的な衣食住すら満足にできていない者がいます。また、親が自分の責任を押し付けている家庭(機能不全家庭)では、家族のメンバー間の役割がぼやけゆがめられ、あるいは逆転しています。

親が親としてすべき行動をしないので、小さなk子供が家事をすべて行ったり働いて家計を支えている場合などです。

3. コントロールばかりする親

干渉し、いつもコントロールしていないと気が済まない親です。コントロールには2種類あり、直接的で露骨なコントロール、直接的に「言った通りにしなさい、さもないと」と脅しが含まれる言動、あるいは暴力でコントロールし子供にしばしば屈辱感を感じさせる親です。もうひとつは、自分の都合を押し付けるタイプです。干渉し、コントロールしたがる親というのは非常に自己中心的な性格で、子供が自分のしたいことができて幸福感を感じているというのは本来喜ぶべきことなのに、そのように考えることができない。その反対に、子供がしたいことをしていると自分が置き去りにされたような気分になり、子供を責める。

ちなみに、このタイプの毒親は非常に多いと思われます。風土的なことも関係しているかもしれませんが、日本に多いタイプの毒親ではないでしょうか。

4. アルコール中毒の親

家にアルコール中毒者がいる家庭というのは、言うなればリビングルームに恐竜が居座っているようなものと言われます。そんな巨大なものがそこにいるのは歴然としており、とても無視できるものではないに、家族は成すすべもなく無力感から、そんなものはうちにはいないことにしてしまいます。そのような家庭では「嘘」「言い訳」「秘密」が空気のように当たり前になっていて、一緒に暮らす子供に計り知れない情緒の混乱を引き起こします。これは薬物中毒の親も同様のことが言えます。

このブログでも触れましたが、もともとアダルトチルドレンという言葉は、アルコール中毒者を親に持つ子供が、成長しても著しい不安感や混乱、しばしば対人関係において苦しみを感じることをアダルトチルドレンと呼んでいました。
アダルトチルドレンとは何か?
最近では、アルコール中毒者の親だけではなくここに書いているような毒親を持つ子供にも似たような傾向があることから広い意味で使われるようになりました。

5. 残酷な言葉で傷つける親

暴力は必ずしも肉体的に傷つけるだけではありません。言葉による暴力は、時にはそれ以上に人を傷つける力を持っています。特に親による侮辱的な罵り、辱め、バカにした言葉などは子供の心を著しく傷つけ、将来の心の発育に悪影響を及ぼします。どんな親でも子供を叱る時につい強い言葉、子供が傷つく言葉を言ってしまうことがあるかもしれませんが、これだけでは虐待とは言えません。毒親は、子供の身体的な特徴、知育、能力、人間としての価値などについて日常的かつ執拗に、ひどい言葉で攻撃を加えるのは虐待のレベルです。

言葉による暴力は、肉体的な虐待よりも周囲が気がつかず、日常的に行われてしまっているケースが多々あります。また、肉体的に決定的な証拠が残らないため、毒親の方もとぼけたり嘘をつくことで周囲からの監視をくぐり抜けるという悪質さがあります。

6. 暴力を振るう親

子供に暴力を振るう親は、職業、社会的地位、貧富の違い、教育の程度などとは無関係に存在し、子供への暴力という犯罪行為は毎日のように至る所で繰り返されています。「しつけ」という名のものならば親は子供に何をしようがー少なくとも殺さない限りーその是非が問われることはほとんどなかったという歴史があります。しかし、今日ではそのような基準を当てはめることはできません。暴力を行う親は「子供のためにこうするのだ」と暴力を正当化します。体罰は一時的に子供を押さえつける効果があるだけで、子供の心には強い怒りや復讐心、自己嫌悪、大人に対する不信感が生じ、しつけどころか障害になります。

日本では、子供に対する体罰ももちろん、思春期あたりの部活動においても暴力による教育が正当化されてきましたが、このような暴力の正当化は許されることではありません。

7. 性的な行為をする親

近親者から性的な行為をされるということは、子供にとってもっとも残酷で理解しがたい体験でしょう。ましてやそれが親だったとしたら、その行為は子供のもっとも基本的な信頼に対する裏切りであり、将来にわたって情緒に取り返しのつかない結果を招きます。肉体的な暴力、言葉による暴力を行使する親は子供に対する思いやりと感情移入の能力が極端に欠落しているが、その虐待の事実をしつけという言葉で正当化してきた。しかし、性的な行為をする親に至っては、あまりに倒錯していて正当化の余地すらありません。子供に対する性的な行為は人間が行ってはならない「悪」です。

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一部「毒になる親」からの文章を断りなく使わせていただいておりますが、これはこの本が如何に的確に毒親というものを分析し、解説しているかという点を知っていただきたく、また、ここで興味を持たれた方、ご自身が虐待についてなんらかの苦しみを持っていれば是非この本を読んでいただけたらと思います。


毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫)



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